「エコハウス」ってどんな家?
環境に負担をかけないけど、自然・再生可能エネルギーは最大限利用する家のことを「エコハウス」って言うんだ。
だけど、「エコハウス」ってお高いんでしょ?
年間10万円以上の光熱費がほとんど必要なくなるから、実は安いんだよ。
「エコハウス」は自然環境に優しいことがアピールされますが、本当は「お得で快適な家」それが「エコハウス」です。
お得で快適な理由は次の6つです。
- エネルギーを無駄なく使うから電気代がお得
- 無料の太陽エネルギーを使いまくるから光熱費がお得
- 耐久性が高いからメンテナンス費用が少なくなりお得
- 無垢材など品質の良い製品を使えるからお得
- 快適な住まいは医療費を削減できるからお得
- 補助金がもらえてお得
この「お得で快適なエコハウス」を実現するための3つの大事なこと、それは
- 太陽光・熱エネルギーを使いまくる!
- 高断熱高気密住宅で熱エネルギーを逃さない!
- 高寿命な自然素材を活用する!
私「Ukarlu」は電気系エンジニアとして17年以上の経験があり省エネについては専門的知識を持っています。大学院では太陽光パネルを研究してました。
自分の省エネの知識と、家づくりで学んだ経験をもとに3つの大事なことを解説します。主な参考書籍は松尾先生(建築家)の「ホントは安いエコハウス」と前先生(東大)「エコハウスのウソ 増補改訂版」です。ローコスト住宅以外のコスパの高い家を探している方に今回のエコハウスの記事は必読です。
太陽エネルギーを使い倒す!
私たちが使っている多くのエネルギーの源(みなもと)は太陽です。
太陽光発電や太陽熱温水器はすぐにイメージが湧きますよね。
実は、石油や石炭・天然ガスも太古の生物が植物を食べて繁栄した名残であり、水力発電も太陽エネルギーで温められた海水や湖が雲となり雨となって降ってきた水をダムで貯めて利用しています。
つまり石油や石炭といった化石燃料に頼らなくとも、いま降り注いでいる太陽エネルギーを効率よく使えば私たちの生活に必要なエネルギーは賄えるはずなのです。
バックミンスター・フラー
「宇宙船地球号」を提唱したバックミンスター・フラーが40年以上前に、自然エネルギーだけで人類のエネルギーは足りると話していて、若かりし自分もその思想に強く影響を受け、現在でも太陽光パネルや省エネ技術を学んでいます。
そして遂に自分自身エコハウスを建築することで、太陽エネルギーだけで100%まかなえる生活(オールタイムZEH)に挑戦します。
太陽光発電と太陽熱温水について
実際にエコハウスを計画する上で、太陽光発電と太陽熱の現状を調べてみました。
2020年12月現在の結論は
- 太陽光は10年で元が取れる
- 太陽熱は8年で元が取れる
FITと呼ばれる電力買い取り制度の設計が10年で資金を回収できるように設計されているため、相場価格で太陽パネルを設置すれば10年後からお金を稼いでくれるようになります。⇨ 参考サイト:太陽光発電メリット・デメリット
太陽熱温水器は設置費用が安いため、回収期間がさらに短くなります。
プロパンガスエリアだとガス代がかなり高いため設置費用はもっと短く5年程度で元が取れる場合も。
自治体によっては補助金も付きますので、資金回収はもっと短くなるでしょう。
これは当たり前の話で、太陽は年間200日以上も空からエネルギーを供給してくれるので、それを受け取る設備さえ作ってしまえば取り放題なわけです。
それに比べ私たちが今電力会社から受け取っている電気は、
- 石油・天然ガス・石炭の採掘コスト
- 化石燃料を日本まで輸送するコスト
- 電力会社が燃料から電気を取り出すコスト
- 配電網を使って電気を送るコスト
- 再生可能エネルギーを購入するコスト
ざくっとこれだけのコストが必要になってしまうので、企業努力で電気代を安くすることも限界があります。
特に最後の「再生可能エネルギーを購入するコスト」がくせ者で、太陽光パネルを設置しない人は設置している人にお金を払い続けていることになり、毎年損をする金額が上がり続けています。
下表の参考資料によれば、平成24年に僅か年額792円だったものが令和元年には10728円と10倍以上の値上げになっています。
経済産業省もカーボンニュートラルを政策として打ち出しているため、再生可能エネルギーの普及を進めるのは間違いなく再エネ割賦金は今後も上昇する可能性が高いです。
年度 | 買い取り単価 | 昨年度比 | 標準家庭の負担(300kWh/月) |
---|---|---|---|
平成24年度 | 0.22円/kWh | – | 年額792円、月額66円 |
平成25年度 | 0.35円/kWh | 0.13円(約60%)増 | 年額1260円、月額105円 |
平成26年度 | 0.75円/kWh | 0.4円(約115%)増 | 年額2700円、月額225円 |
平成27年度 | 1.58円/kWh | 0.83円(約110%)増 | 年額5688円、月額474円 |
平成28年度 | 2.25円/kWh | 0.67円(約42%)増 | 年額8100円、月額675円 |
平成29年度 | 2.64円/kWh | 0.39円(約17%)増 | 年額9504円、月額792円 |
平成30年度 | 2.90円/kWh | 0.26円(約10%)増 | 年額10440円、月額870円 |
平成31年度 | 2.95円/kWh | 0.05円(約2%)増 | 年額10620円、月額885円 |
令和元年度 | 2.98円/kWh | 0.03円(約1%)増 | 年額10728円、月額894円 |
持ち家に太陽光パネルを付けないと損する社会になりつつあります。
OMX
太陽光パネルと太陽熱温水器が10年以内に元が取れる話をしました。
しかし、オール電化の家庭では電気の力(エコキュート)でお湯を沸かすため、太陽光パネルと太陽熱温水器の機能がバッティングしメリットが減ってしまいます。
他にも電気温水器を屋根につける見た目がイマイチだと感じる方もいるかもしれません。
実際に太陽光発電に比べ、太陽熱温水器が普及しない理由もこの辺りにありそうです。
2017年に太陽熱温水器(給湯器)のデメリットを解消する新しいシステムが発売されました。
OMソーラー社の「OMX」です。
「エコハウスのウソ 増補改訂版」著者である前先生(東大准教授)がOMソーラー社と共同で開発し55%もの省エネに成功した画期的な全館空調設備になります。
この「OMX」に太陽光発電と太陽熱給湯を同時に実現できる「クワトロDM」を組み合わせることで、最強のエネルギー源+省エネ設備が完成します。
発売したばかりなので導入コストは高いのですが、シミュレーションの結果15年で元が取れることがわかったので、省エネ性能と部屋の快適性を両立した「OMX」の自邸導入を決定しました。
今後のブログでレビュー予定です。
蓄電池とV2H
太陽光パネルで発電するだけでなく、太陽熱で給湯をすると発電電力がかなり余ることになります。
10年間は電力会社が定額で買い取ってくれるFIT制度があるので発電電力があまっても問題はないのですが、10年後に買い取り金額が半分以下になってしまいます。
そこで活躍するのが、蓄電池とV2H(Vehicle to Home)です。
蓄電池があれば、太陽が出ていない夜間や雨天時でも晴天時に貯めておいた電気を使用することができるため、ほぼ100%電気を自給自足できることになります。
V2Hはこの蓄電池の役割を電気自動車のバッテリーにやってもらう設備になります。
2020年12月現在、私UkaluのおすすめはV2Hです。
理由は
- 住宅用の蓄電池はまだ高価
- 自動車のバッテリーは安い
- 中古の電気自動車はとんでもなく安い!
- ガソリン代と自宅の電気代を両方節約できる!。
V2Hについてはこちらでも解説してます。⇨エコハウスの最強装備「V2H」とは?EVが家庭用蓄電池になる!
住宅用の蓄電池相場は10kWhで150〜200万円(2020年12月現在)とまだまだ高額になってます。参考:タイナビ蓄電池
では電気自動車はどうでしょうか?
日産リーフ グレードS 40kWhで約330万円となっていますので、10kWhに換算すると約80万円となり住宅用蓄電池の半分以下の価格となっています。
V2Hの設置費用を80万円と仮定して加えた場合でも、10kWh換算で100万円と住宅用蓄電池と比べお得になってます。
まだ高いなと思う方におすすめなのがリーフの中古車。なんと30万円代から買えるため、バッテリーの劣化があったとしても24kWhを30万円で手に入れれば圧倒的なコストパフォーマンスになります。
しかも、自家用車もリーフを使えばガソリン代も節約できるため、トータルで年間10万円以上お得になるのです。
日射コントロール
太陽エネルギーをもっと貪欲に手に入れるため、エコハウスではパッシブデザインを取り入れます。
パッシブ(受動的)とはアクティブ(積極的)の反対語で、住宅では主に太陽光や風を上手に活用するデザインで用いられます。
パッシブデザインの一例として
- 南側に大きな窓を設けて、太陽光をたくさん部屋に入れる
- 庇(ひさし)やブラインドで夏の太陽光を部屋に入れない
冬は太陽高度が低なり、夏は太陽高度が高くなる自然の摂理を利用します。松尾先生は「太陽に素直な設計」と仰っていました。
南面の窓からはコタツ1台分の熱を太陽光からもらえます。
太陽からの熱を冬はしっかり取得し、夏は遮る住宅設計がエコハウスには欠かせません。
太陽光をたくさん貰うためには土地選びが重要です。
土地選びに最適なアイテムを紹介しました。 ⇨ 土地は自転車で探せ!◎クロスバイクのススメ◎(ミニぺロ・折畳み自転車も)
土地選びには日当たりの可視化が重要です。⇨ ☀︎エコハウスに最も需要な「日当たりの良い土地」を選ぶための2つのツール
高断熱高気密住宅で熱エネルギーを逃さない!
冬場太陽からもらった熱をいかに逃さないか。
ここで高気密高断熱の家が必要となってきます。
C値が低く(隙間が少ない)、Ua値が低い(断熱性能が高い)設計が、熱エネルギーを逃さず省エネ快適な住居を作ります。
詳細はこちらの記事 ⇨ 「C値」「Ua値」「Q値」「G1」「G2」は住宅性能(特に断熱)を表す数値
意外と忘れがちな玄関ドアの断熱性能をまとめました。 ⇨ 玄関ドアの断熱性能(製品一覧)&熱貫流率(U値)ランキングベスト10
高寿命な自然素材を活用する!
外壁や屋根、内装材を選ぶときに購入時の価格だけで判断するのはちょっと待ってください。
将来のメンテナンスコストや住居の快適性も考慮することで、私たちの財布も環境負荷も軽くなるのです。
ここでは概要だけ
- 低耐久なサイディングではなく、高耐久なスーパーガルバリウムやそとん壁、焼き杉を使う
- フローリングは無垢材を使って、足もとを暖かくすることでエアコン温度を下げる
- 自然素材と適切な換気でアレルギーや病気を防ぐ
初期コストが50万円安くても、メンテナンス期間が10年の素材と20年の素材ではトータルコストで高耐久素材に敵いません。
外壁について記事を書きました。⇨ 外壁はどれにする?そとん壁・焼き杉・スーパーガルバリウムで決まり!
また暖かい家にすることでアレルギーや病気になる確率が下がった研究結果(住宅の温熱環境と健康の関連 – 国土交通省)がある通り、健康リスクも考慮すると多少のコストアップでも無垢材の床や適切な換気環境を整えることが重要となります。
エコハウスは補助金たくさん!
エコハウスは国や自治体から貰える補助金がたくさんあります。
例えば
- 長期優良住宅 100〜140万円
- ネットゼロエネルギーハウス 60〜195万円
- 低炭素住宅 110〜140万円
- 家庭用蓄電システム 最大60万円
- グリーン住宅ポイント制度 最大100万円相当
細かい条件については各省庁や自治体のサイトを確認ください。工務店もよくわかっていないマイナーな補助金もあるので施主のチェックが必須です。まとまったサイトはこちらがおすすめ ⇨ 住宅の補助金・減税・優遇制度オールガイド
補助金は分かりにくい部分もありますので詳しい記事を次回以降で書きます。
補助金について記事書きました。 ⇨ 最高300万円!2021年☀︎住宅補助金・助成金のもらいかた「新築編」その①
新しく始まった「グリーン住宅ポイント制度」についてはこちら ⇨ 2021年限定!補助金「グリーン住宅ポイント制度」もらえる条件
最後に
これまで述べてきたことを、家づくり初心者が全て意識するのは難しいかもしれません。
そのため、まずエコハウスやパッシブデザインを意識している優良工務店や設計事務所を探し、相性をチェックする中で建築家や建築士から学ぶのが一番おすすめできます。工務店の選び方はこちらに記事を書いていますので参考ください。 ⇨ 住みたい都道府県『評判の良い工務店の選び方』3つのポイント
もう一つ大事なこと、小さな家を建てればエコでメリットもたくさんあります ⇨ 小さな家は良いことだらけ!5つのメリット[コスト、土地、家事、地域、環境]
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